分析手法

馬馬虎虎(マーマーフーフー)は、JRA中央競馬の期待値分析を公開する個人サイトです。単勝オッズから逆算した市場確率を統計モデルで補正し、市場との見解差(期待値)が明確な馬だけを推奨します。

補正の根拠はトラックバイアス——直近開催の枠順(相対枠位置)ごとの成績を、過去2〜3年のベースラインからの乖離(Δ)として定量化したものです。推奨の結果は単勝回収率で検証し、すべて記録します。

名前の由来

馬馬虎虎」は中国の慣用句で「まあまあ、いい加減」。馬と虎を見分けられずに描いた画家の故事が由来です。名前はいい加減ですが、手法はすべて開示する方針です。的中を演出しない代わりに、定義・標本数・不確実性を隠しません。

期待値分析

本サイトの主役です。単勝オッズは大量の情報を集約した優秀な確率予測であり、これを土台にします(Benter型アプローチ)。モデルが行うのは市場がまだ織り込んでいないトラックバイアスの補正のみです。

  • 市場確率 — 単勝オッズの逆数をレース内で正規化(控除率を除去)した勝率推定
  • モデル確率 — 市場確率の対数オッズに、当該馬の相対枠位置グループのΔを係数倍して加点し、再正規化
  • 期待値 — モデル確率×単勝オッズ。市場と同一の確率なら控除率相当(約0.8)に収束するため、1.1超は市場との明確な見解差を意味します。該当馬がいないレースは「見送り」

構造上、大半のレースは見送りになります。これは異常ではなく、市場効率性を前提とした場合の合理的な帰結です。

注目馬は、モデルが市場より+2%以上高く評価したレースの最上位馬に付す相対的なシグナルです(バイアスの追い風が明確な馬)。期待値がプラスであることを意味しない点で「推奨」(期待値1.1超)と明確に区別し、注目馬の成績(的中率・回収率)は結果検証ページで継続的に開示します。

補正係数は時系列分割バックテスト(学習2024-01〜2025-06、検証2025-07〜12、テスト2026-01〜06)の条件付きロジットで学習しています。評価は的中率ではなくROI(回収率)・キャリブレーション・対数損失で行います。現行の特徴量(枠順バイアス)による尤度改善は市場に対して統計的に有意ではなく、市場は枠バイアスをほぼ織り込んでいるというのが現時点の検証結果です。このため推奨は稀で、見送りが標準的な結論になります。特徴量は検証を通過したものだけを追加します。

なお、バックテストは確定オッズで行っています。実際に購入可能な時点のオッズは確定オッズと異なるため、表示される期待値は実運用ではやや甘めの推定になり得ます。

トラックバイアス分析(補正項の推定)

期待値モデルの補正項Δを推定する工程です。バイアス分析ページで全開催ぶんを開示しています。

  • グループ定義 — 枠は枠番ではなく相対枠位置(馬番の順位÷出走頭数)の3分位で内・中・外に分割。頭数の異なるレースを同一尺度で扱えます。脚質バイアス(最終コーナー通過順位ベース)も集計・検証しましたが、モデル特徴量としての検証を通過せず(市場が織り込み済み)、かつ通過順位データが週明けまで確定しないため、現在ページには表示していません
  • 指標 — 正規化着順(着順÷出走頭数)のグループ平均と、レース期待値との差。複勝率と違い二値化による情報損失がなく、小標本(1開催日≒12R)でも分散を抑えられます
  • ベースライン — 過去2〜3年の同競馬場・同コース種別のデータを、馬場状態(良/道悪)×距離帯で層別してマッチング。セルの標本が不足する場合は一段粗い層へフォールバックします。路盤改修があった競馬場(例: 京都=2023年4月以降)は改修後のみ使用
  • 縮小推定 — 当日推定値は経験ベイズ的な部分プーリングでベースライン方向へ縮小(重み n/(n+k)、k=30)。小標本の偶然の偏りを抑えます
  • 主指標は乖離Δ — 内枠・先行馬はどの競馬場でも恒常的に有利であり、絶対値の成績はその構造を含んでしまいます。表示するのは縮小推定後の値とベースラインの差(Δ)。負のΔ=ベースラインより有利化、正=不利化です
  • 不確実性の開示 — Δには標準誤差にもとづく有意性判定(*=近似95%水準)を付け、レース単位の符号の偏りには二項検定のp値を併記します。有意でない乖離はノイズの可能性が高い、と読んでください
  • 距離カテゴリ別 — バイアスは距離帯(短距離≦1400m/マイル〜中距離≦2000m/長距離)によって符号が逆転することもあるため、距離帯別のΔも併記します。1日あたりの距離帯別標本は小さく、縮小が強く効いた保守的な値になります
  • コース替わり — 柵位置の移動が疑われる開催替わり週は、バイアスが非連続になる可能性を注記します

芝とダートは全工程で分離して扱います。

結果検証

推奨馬は単勝100円の均等買いを仮定して的中・回収率を検証し、見送り判断も含めて記録します。単日の回収率は分散が大きいため、モデルの評価は長期のROI(回収率)とキャリブレーション(推定確率と実勝率の一致)で行います。

このサイトが示す現実について

期待値分析を続けた結果として「推奨ゼロ」が並ぶなら、それこそが最も価値のあるデータだと考えています。JRAの単勝は売上の約20%が控除されるマイナスサムの市場であり、オッズには大量の集合知が織り込まれています。私たちのモデルが市場の見落としを検出できない限り——そして現時点で検出できていません——馬券は買うほど期待損失が積み上がります

このサイトは的中の演出をしません。むしろ、検証データが「儲からない」を示し続けるなら、それは競馬を娯楽の予算内に収める目安として、あるいは競馬と距離を置く判断材料として役立つはずです。買う理由にも、買わない理由にも使える数字を、加工せずに置いておきます。

限界と免責

トラックバイアスは日次で変動し、降雨・馬場整備・柵移動で非連続に変化します。推定が最も外挿しやすいのは翌日の同競馬場・同コース種別・近い距離帯です。

本サイトの分析・期待値は統計的情報の提供であり、的中や収益を保証するものではありません。馬券の購入は20歳以上、自己責任でお願いします。